ガタカ/GATTACA
            1997年/アメリカ
            監督・脚本:アンドリュー・ニコル
            音   楽:マイケル・ナイマン
            出   演:イーサン・ホーク
                  ユマ・サーマン
                  ジュード・ロウ
遺伝子の優劣のみで個人の価値が判断される未来の物語です。出産前に遺伝子内の劣勢な要素を人為的に取り除かれた者が適正者として優遇され、自然のまま出産した者は遺伝子に劣勢な要素を持っている為、不適正者として全ての可能性を否定されてしまう世界です。
主人公のヴィンセントには宇宙飛行士になるという夢がありますが、不適正者の為、望んだ仕事に就く事はできません。
ヴィンセントは自分の夢を叶える為、適正者に成りすまして生きる道を選びます。そして、ある組織を通じて優秀な遺伝子を持つジェロームという人物に出会います。事故によって下半身不随になったジェロームは、自分の遺伝子の情報をヴィンセントに提供する代わりに生活の面倒を見てもらうという契約を交わします。そして、ヴィンセントは航空宇宙局のガタカに入ります。そこでアイリーンに出会い、お互い惹かれあっていきます。

身分を偽りながらも夢の実現に向かってひたすら努力を続けるヴィンセント。ガタカに勤めながらも、自分の遺伝子の劣勢要因に悩むアイリーン。常に最高を求められるも、結果が出せずに挫折し、遺伝子の価値しかなくなってしまったジェローム。そんな3人を中心に物語は進んでいきます。
誰にも無限の可能性があり、あきらめないで努力を続ける事の大切さが美しい映像とともに切なく描かれております。決められた価値観や世界に従って生きる者と血のにじむような努力を続け、困難を乗り越えていく者。現代社会にも置き換えられるような図式に色々と考えさせられてしまう内容です。
設定は未来なのですが、ガタカとして使用されている建物や自動車、衣装などは1960〜70年頃の物やデザインを用いる事により、独特の世界観を作り出しています。

音楽はピアノレッスンで有名なマイケル・ナイマンが担当しています。美しいメロディが、切ないエンディングを嫌という程盛り上げます。サウンドトラックもお薦めです。

公開当時は恵比寿ガーデンシネマでの単館上映でした。また大きなスクリーンで見たいのですが、どこかで上映してくれないものでしょうか。この映画をきっかけにイーサン・ホークとユマ・サーマンが結婚したらしいです。(既に離婚済ですが・・・。)物語の後半、ジェロームが螺旋階段を上半身の力だけで這い上り、身元確認に来た刑事を何事も無かったように迎え入れるシーンにシビレました。