07.決死の峠越え
寒さと疲労満載の上に空腹な三人は、峠越えにそなえ国道沿いのラーメン屋に入り体力バロメーターの回復を試みます。店内の暖かさがしみて鼻水が止まりません。
注文したラーメンが来るまで地図でルートを確認。スタンドのおじさんが言ってた峠ってこれかな? 地図には小さな文字で
日勝峠と表記されております。
その時、この後に待ち構えている過酷な状況を知る由もない三人でありました。
日がすっかり暮れた真っ暗な峠道を進んで行きます。標高が高くなるにつれてどんどん霧が濃くなってきます。頂上付近では先頭を走るたけひこのバイクすら時折見えなくなります。そんな状況なので車もかなりの徐行運転ですが、もっとゆっくり走ってくれ〜と叫びたくなるほど前が見えません。気を抜くと置いていかれそうです。
濃霧の中を走っていると不思議な感覚になります。息が出来ないような気分になるのは私だけでしょうか?
頂上を越えて下りになるとみるみる霧が晴れていきました。しばらく進むと暗闇に光るファミリーマートの看板を発見。吸い寄せられるように停車します。エンジンを切り深呼吸する三人。「あ〜怖かった。しかも寒い!」
たけひこが駐車場にいるカップルに話しかけます。
「今、車乗るときはエアコンですか?暖房ですか?」
笑いながら彼の方が、
「暖房ですよ。僕もバイク乗るけど、夏でも夜は寒いから地元の人間は夜走らないよ。」
ええっ!夏でも夜にバイクに乗らない北海道って・・・我々、つくづく北海道をなめていたようです。夏なんだからシャツでご機嫌北海道ツーリング!なんて本気で考えていたのですから。