15.船旅
復路は苫小牧〜大洗便です。二等寝台という二段ベットのような作りになった寝床を予約しました。
荷物をベットに置いて船内探索をします。お約束の顔出し看板を発見。顔を入れずにはいられません。

船外のデッキに出て潮風に吹かれてみます。お約束ですがタイタニックごっこをしたくなります。さすがにフェリーの突端までは行けるようになっていないので、適当な所でジャックになりきり叫んでみます。

デッキには椅子なども置いてあり、まったりするには最適です。優雅な船旅気分を思う存分満喫します。
お腹が減ったらレストランに行って食事をして、その後、再びまったりするなんて事を繰り返していると19時45分、大洗港に到着しました。デッキに下りてバイクに荷物をくくりつけ下船します。
すっかり暗くなった大洗の土地を踏みしめつつ、今回の旅が終わりに近づいているな〜なんて少しおセンチな気分に浸っていると突然雨が降り出しました。結構激しい降りの為、ライダー達が雨具を着る為の駐車スペースを場所を探してオロオロしています。

一瞬にして衣類がしっとりしました。水戸からそれぞれの自宅までは、北海道での走行距離を考えれば近所のコンビニに買い物に行くようなものです。(本当か?)
雨具を着て高速の乗り口を目指して出発します。

信号待ちの時、ホンダのジョーカーが私の横に停まりました。乗っている青年は雨具を着ておらず、激しくずぶ濡れです。寒そうだな〜と思っていると私に話しかけてきました。


   「あの〜川崎まで行くにはどの道を行けば良いのでしょうか?」

青年は川崎ナンバーの私を見て同じ方向に帰ると思ったのでしょう。でもこの時、私は引っ越しをして川崎住まいではありませんでした。

しかし、私は偶然にも以前水戸に住んでいた事があり、当時乗っていたTS125Rで一般道を実家の川崎まで帰った経験があったので、一般道での川崎までのルートをざっくりと説明しました。青年には言えませんでしたが、下道で大洗から川崎まで帰るその道程の長さといったら・・・三蔵法師が中国から天竺まで向かう旅のごとく遠く険しい道程です。

青年が無事に川崎に到着出来たか心配です。風邪ひいていないかな?せめて途中で雨具を購入した事を祈るばかりです。